ASUSTeK Computer(ASUS)の「Eee Top PC」は、タッチパネル機能付きの液晶一体型デスクトップPCシリーズだ。比較的高価な製品が多いタッチパネル搭載の液晶一体型PCながら、主にNetbookやNettop向けプラットフォームを採用して価格を大幅に抑えることで、低価格な省スペースPCが欲しい層にアピールしている。
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チマークテストの結果】
EeeTop PCシリーズは計4機種をラインアップするが、特に注目したいのがハイエンドモデルの「EeeTop PC ET2010AGT」だ。従来機の「EeeTop PC ET2002T」と比較して、タッチパネル付きの20型ワイド液晶はそのままに、2本指のマルチタッチ機能を追加し、ボディデザインとスペックの両面も大幅にブラッシュアップを施している
。それでいて、EeeTop PCらしい低価格設定は維持しており、見どころが多い。
今回はET2010AGTの性能、機能、使い勝手をじっくりチェックしていこう。
●シンプルなデザインのボディは設置性良好
ボディデザインは、ブラックのつややかなフレームが液晶ディスプレイを囲ったシンプルなもので、正面から見ると、まるで大きなフォ
トフレームが立っているかのようだ。液晶フレーム上部左側に「EeeTop」、下部中央に「ASUS」のシルバーのロゴ、上部中央に130万画素Webカメラが配置されているが、過度に主張しない外見は、低価格PCにありがちなチープさを感じさせない。アットホームなリビングでもスタイリッシュな部屋でも溶け込めるだろう。カラーはブラックのみで、背面はシルバーで統
rmt レッドストーン 一されている。
ボディサイズは496(幅)×20?54(奥行き)×373(高さ)ミリ、重量は約5.5キロだ。液晶ディスプレイ部の最薄部は20ミリとスリムで、横から見ると、単体の液晶ディスプレイのように薄く仕上がっている。スタンドは無段階の上下チルト機構を備えているため、画面の角度は柔軟に調整可能だ。重量はA4クラスのノートPCよりちょっと重い
程度で、未使用時はスタンドを背面にぴったり沿った状態に折りたたんでコンパクトにできるため、収納や屋内での持ち運びも気軽に行える。
同じタッチパネル付き20型ワイド液晶を搭載したET2002Tと比較した場合、幅は15ミリ、高さは37ミリとかなりの小型化を果たしているのが見逃せない。省スペース性は高く、机上での圧迫感は少ないはずだ。なお
、本体に電源ユニットを内蔵していないため、ACアダプタを接続して利用する。
●AMDの省電力版CPUと外部GPUで大幅にスペックアップ
EeeTop PCシリーズでは、ET2010AGT以外のすべてのモデルがCPUにインテルのAtomを採用しているが、ET2010AGTはAMDの省電力版デュアルコアCPUであるAthlon II X2 250u(1.6GHz、2次キャッシュ1Mバイト×2
Ragnarok rmt )を搭載する。Socket AM3対応のデスクトップPC向けCPUだが、TDP(熱設計電力)が25ワットとモバイルPC向けCPU並に低いのが特徴だ。
チップセットはコストパフォーマンスの高さに定評があるAMDのエントリー向けディスクリートモデルのAMD 770を組み合わせている。グラフィックス機能についても、従来機のET2002Tはチップセット統合グラフィッ
クスコアを利用していたが、ET2010AGTでは外部GPUのATI Mobility Radeon HD 5470(グラフィックスメモリは最大512Mバイト/OSによる割り当て)へと強化された。
メインメモリはPC3-8500 SO-DIMMを採用しており、容量は2Gバイトだ。SO-DIMMスロットは2基用意しているが、ASUSはユーザーによるメモリモジュールの交換や増設をサポートせず、サポー
トセンターでのメモリ交換やアップグレードサービスも提供しないとアナウンスしている。
実際、ボディの背面は4隅をネジ止めされた継ぎ目のない一体成形のパネルで覆われていて、内部にアクセスするには大がかりな分解作業が必要になる。OSに64ビット版のWindows 7 Home Premiumを搭載しているにもかかわらず、メモリが2Gバイトで打ち止めというの
は、OSの特性を生かし切れないのでなんとも惜しい。
データストレージは500Gバイト容量の3.5インチSerial ATA HDD(7200rpm)を搭載し、光学ドライブはスリムタイプのトレイ式DVDスーパーマルチドライブを右側面に備える。
●HDMIで接続した機器の外部ディスプレイとしても利用可能
ネットワーク機能は1000BASE-Tの有線LANと、
IEEE802.11b/g/nの無線LANを内蔵する一方、Bluetoothは搭載しない。端子類は、左側面にSDHC対応SDメモリーカード/MMC用スロット、USB 2.0×2、マイク端子、ヘッドフォン/オーディオ出力端子を、背面には電源コネクタ、USB 2.0×4、HDMI入力、有線LANを備えている。右側面には光学ドライブを配置しており、端子類は用意されない。
拡張端子で一番
の注目は、背面のHDMI入力だ。Windows 7を起動していない場合でも入力信号を検知して画面表示ができるため、HDゲーム機やDVDプレイヤーなどのHDMI出力対応機器を接続して、単体の20型ワイド液晶ディスプレイとしても利用できる。液晶フレームの下部にあるMODEボタンから、PC映像とHDMI入力の映像を切り替えることが可能だ。
USB 2.0は左側面
と背面に豊富に用意されているため、マウスやキーボードのような常に接続したままの機器は背面のコネクタ、USBメモリのような頻繁に着脱する機器は側面のコネクタと、使い分けがしやすい。
ちなみに付属のキーボードとマウスはどちらもUSB接続の有線タイプとなっている。配線を気にせず、少し離れた場所からでも操作できるワイヤレスタイプのキー
rmt 信長 ボードとマウスが付属していればさらによかったと思うが、価格を考えると納得できる部分だろう。キーボードはキー間隔を離したアイソレーション型のデザインで、省スペース性の高い本体に合うよう薄型だ。スクロール機能付きのマウスとともに、ブラックのカラーを採用しており、本体のデザインとの調和がとれている。
●1600×900ドット表示の20型ワイ
ド液晶は画質調整に対応
液晶ディスプレイは画面サイズが20型ワイド(アスペクト比16:9)で、解像度は1600×900ドットに対応する。画面サイズと解像度のバランスがよく、初期状態でアイコンや文字の視認性は高い。フルHDとまではいかないが、エントリークラスとしては高い解像度を確保しており、広い作業領域が得られる。
表示品質につ
いては、輝度があまり高くなく、コントラスト、発色ともに落ち着いている。派手さはないが、目の負担が少ないため、映像コンテンツの視聴より、Webブラウズや文書作成に向いているような表示だ。ただし、ディスプレイの表面は光沢仕上げなので、設置場所によっては照明や周囲の風景が映り込みやすい。TN方式の液晶パネルなので上下方向の視野角は狭いが、正
面近くから映像コンテンツを見るぶんには問題ないだろう。
画質の調整に関しては、ASUS独自のソフトウェア「Eee Splendid」が用意されており、Splendid、Vivid、Soft、Theaterといった画質モードが選択できる。これにより、初期状態では落ち着いている表示にメリハリをもたせて、映像視聴向けに味付けすることも可能だ。その効果は一目見て分かるほど強
い半面、誇張しすぎの感もあるので、表示する内容に応じて使い分けるのがいいだろう。
また、本体のOSDメニューからは輝度、コントラスト、色温度を含む画質モード(冷たい、通常、温かい、sRGB、ユーザーモード)の設定ができ、ユーザーモードではRGB個別のゲインを調整することが可能だ。低解像度表示のスケーリング機能は4:3(アスペクト比
を維持して拡大表示)と、Full(全画面引き伸ばし拡大表示)の2種類が選べる。これらOSDメニューからの設定は、HDMI入力で外部ディスプレイとして使う場合に役立つ。
●マルチタッチ対応の独自ツールも用意
ET2010AGT最大の特徴ともいえる指2本によるマルチタッチ対応の光学式タッチパネルは、NextWindowの「NextWindow 1950 Touch Screen
rmt latale 」を採用する。NextWindowはニュージーランドの光学式タッチスクリーンメーカーで、ソニーやNEC、デル、HPといった大手PCメーカーの採用例も多い。ET2010AGTのマルチタッチ機能は、Windows 7 Home Premium標準搭載の「Windowsタッチ」によって提供されている。
タッチ操作のレスポンスはまずまずで、シングル/ダブルタップやスクロールはタッチ
パネルに触れると同時に動作し、プレスアンドホールド(画面の長押しで、右クリック動作を行うこと)の反応も問題ない。指2本で画像やWebページを拡大/縮小したり、画像を回転させたりといったマルチタッチでは、指の動きにワンテンポ遅れて画面表示がついてくる感じだが、十分日常的に利用できるレベルといえる。
タッチパネル対応アプリケーシ
ョンとしては、Windows標準のペイントツール「ペイント」やキャプチャツール「Snipping Tool」などに加えて、ASUSオリジナルの伝言板ツール「Eee Memo」がプリインストールされている。ペイントやSnipping ToolはタッチパネルがないPCでも使えるツールだが、タッチ操作だと実用性がかなり高まるので、試してみると面白いだろう。
そのほか、Webカメ
ラの撮影時に多彩なエフェクトを付加して楽しめる「Eee Cam」、デスクトップ上部のランチャーからさまざまなコンテンツやサービスにアクセスできる「Eee Docking」といった独自のアプリケーションも備えている。Eee Dockingからは、音楽や電子書籍、インターネットラジオなどのコンテンツを提供する「ASUS @Vibe」や、カジュアルゲームを提供する「ゲームパ
ーク」などのサービスを利用可能だ。
●Athlon II X2 250uとMobility Radeon HD 5470の性能は?
ここからは実際のパフォーマンスを調べていこう。Windowsエクスペリエンスインデックスの基本スコアは4.5だ。最も低いサブスコアはプロセッサで、これは省電力なデュアルコアCPUのAthlon II X2 250u(1.6GHz)を採用しているので仕方がない。
しかし、そのほかのサブスコアを見てみると、メモリは5.5と十分で、プライマリハードディスクでは7.5と飛び抜けたスコアが得られている。また、外部GPUのATI Mobility Radeon HD 5470を装備するだけあって、グラフィックスは5.1、ゲーム用グラフィックスは6.3といずれも高い。
総合的なパフォーマンスを評価するベンチマークテストのPCMark05と
PCMark Vantage(x64)、DirectX 9.0世代の3Dグラフィックス性能をチェックする3DMark06、DirectX 8.1世代の3DゲームテストであるFINAL FANTASY XI Official Benchmark 3も試したが、傾向はWindowsエクスペリエンスインデックスとほぼ同じだ。
Athlon II X2 250u(1.6GHz)の性能は、ほかのEeeTop PCが採用するAtomシリーズを大きく上回り、さらに上位のCULV
クラスにあるCore i3-330UM(1.2GHz)よりも少し高いが、デスクトップPC向けエントリーモデルであるCeleron E3300(2.5GHz)に比べて見劣りするといった具合だ。
一方、外部GPUのATI Mobility Radeon HD 5470が生かされ、3Dグラフィックス性能はこの価格帯のPCとしては優秀だ。FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3では、高解像度のHigh設定でも「デフォ
ルト状態でとても快適に動作させることができる」とされるスコア(とてつよ)を示しており、この程度の3Dゲームタイトルなら十分遊べるだけのパフォーマンスがある。
システム全体のバランスとしては、エントリーPCクラスのCPUに、3.5インチの高速なHDDと外部GPUによる高度なグラフィックス性能が加味され、Windows 7を十分快適に扱えるレベル
にある。
動作音については、背面の排気口から真上に吹き上げて排気する仕組みのせいか、静かな部屋だと「フォーン」という排気音が少し耳につく。しかし、音量や音質が一定しているため、操作しているうちにいつの間にか気にならなくなってくる。また、生活音が多いリビングなどでは、そのほかの音にかき消されてしまうので、強く静音性を求めて
いるのでなければ、十分許容できるだろう。
●低価格ながら、Windows 7のマルチタッチ体験が存分に味わえる液晶一体型PC
ET2010AGTの標準価格は7万4800円となっており、オンラインの安売り店でも7万円強から7万円台前半で価格が推移している。ほかの液晶一体型PCで多く搭載されているMicrosoft Office 2010やテレビチューナーが不要ならば、
シンプルで飽きがこないボディにマルチタッチ対応の20型ワイド液晶を備え、さらにHDMI入力限定ながら外付けディスプレイとしても使える液晶一体型PCがこの価格、というのは大きな魅力だ。
ASUSの「Eee」ブランドということで、Netbook/Nettopに連なる製品として位置付けられているが、パフォーマンス面でもほかのモデルとは一線を画している。
Windows 7でのマルチタッチ操作がどのようなものか体験してみたい場合や、子どもやシニア向けの初めてのPCが欲しい場合、あるいは個人で使う手軽なサブPCとして、強くおすすめできる低価格な液晶一体型PCだ。
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引用元:
RMTの総合サイト【INFO-RMT】