Tablet PCとは、液晶ディスプレイを持ち運び可能にしたような薄型の、ペン入力式携帯コンピュータ。Microsoft社が専用に開発したWindowsの派生バージョンを内蔵する。 タブレットPCの基本形は2種類ある。液晶パネルの内部に通常のノートパソコンと同程度の処理能力を内蔵し、周辺機器への拡張性を備えた「ピュアタブレット型」(「スレートタブレット型」)と、ノートパソコンにペン入力や縦横に回転可能なディスプレイなどタブレットPCの仕様を盛り込んだ「コンパチブル型」である。 OSにはMicrosoft社が開発したWindows XP Tablet PC Editionを用いる。これは、同社の一般消費者向けパソコン用OSであるWindows XPの派生バージョンで、タブレットPC独自の機能を追加した拡張版である。 タブレットPCでは、基本的には一部のPDAと同じように専用のペン(スタイラスペン)を画面に走らせて操作する。マウスの代わりに画面上の要素を指し示したり移動したりする機能のほか、手書き文字入力機能もあり、画面上で字形をなぞってメモを取り、それを保存したりテキストデータに変換したりすることができる。手書きメモ入力を支援するため、メモ文書を保存?閲覧?操作するアプリケーションソフト「Windows Journal」が用意されている。 同社では専用のペンを「デジタルペン」、ペンによる手書き文字の入力と表示を「デジタルインク」と呼んでいる。 ペン入力以外にも、独特の入力方式として音声認識機能も備え、声を使ってコンピュータを操作したり、「口述筆記」してテキストデータを生成したりする機能を持つ。 こうした独特の入力方式のほかに、普通のマウスやフルサイズキーボードを接続して入力を行なうこともできる。 また、ドッキングステーションと呼ばれる据え置き型の拡張機器が付属している。これはタブレットPC本体を「上に置く」だけで接続でき、内蔵のバッテリーに充電したり、ネットワークを通じて他のコンピュータと接続したり、USBなどの標準的なインターフェースを通じて外部の周辺機器と接続することができる。本体には無線LAN機能が内蔵されており、これを使って外部のコンピュータと簡単に接続することができる。 同社は過去に何度かペン入力式コンピュータを投入して失敗しているが、その原因は手書き文字認識技術や携帯コンピュータ関連技術の未熟さにあったとしており、そうした技術が著しく進歩した今回は必ず成功すると意気込んでいる。 タブレットPC構想は2000年11月に発表され、2002年秋に対応コンピュータが各社から発売された。Microsoft社自身はハードウェアの開発?販売は行なわず、主にパソコンメーカーがタブレットPCを販売している。各社が投入したタブレットPCは、同程度の性能のノートPCよりも3万円程度高く、消費者がタブレットPC独自機能の「プレミア」を認め、受け入れられるかは未知数である。